名古屋地方裁判所 昭和30年(行)23号 判決 1956年9月12日
静岡県磐田市二之宮千三百七十三番地
原告
勅許家元正四位菊坡安信司家乾坤院儒教陰陽道孔子教団総師府上海司庁公許祭祀法人儒学治教孔子教団総師府東亜大司庁
総師府司長
宣教主
李明俊
宗教法人皇治教神祗陽陰道殖産興業寮
総管大教主陽陰医学頭宣教司
木舟晴善
右主管者
木舟直太郎
被告
昭和税務署長
青島幸太郎
右指定代理人
宇佐見初男
同
大野謙治
同
加藤敏夫
同
斎藤浩
同
原邦雄
同
片桐信
同
竹下重人
右当事者間の昭和三〇年(行)第二三号差押無効確認事件について、当裁判所は左のとおり判決する。
主文
原告の請求を棄却する。
訴訟費用は原告の負担とする。
事実
原告主管者は、被告が訴外合資会社日本堂製作所の国税滞納処分の執行として昭和三十年六月二日別紙目録記載物件になした差押は無効であることを確認する。訴訟費用は被告の負担とする旨の判決を求め、その請求の原因として、原告は昭和三十年五月十日訴外小野馨、同小野平八郎より、別紙目録記載物件の贈与を受けて同日引渡しを了し、所有権を取得したものであるが、被告は昭和三十年六月二日訴外合資会社日本堂製作所に対する税金の滞納処分の執行として別紙目録記載物件に差押えをなした。然しながら、同訴外会社に対する滞納処分の執行として原告所有物件の差押えを受けるいわれはないから、請求の趣旨記載とおりの判決を求めるため、本訴請求に及んだものであると述べた。
立証として、甲第一乃至第五号証を提出し、乙号証は全部成立を認めると述べた。
被告指定代理人等は、主文第一、二項同旨の判決を求め、原告主張事実中、被告が昭和三十年六月二日訴外合資会社日本堂製作所に対する税金の滞納処分の執行として別紙目録記載物件に差押えをなしたことは認めるが、その余は否認すると述べた。
立証として、乙第一、二号証を提出し、甲第五号証の成立を認めるがその余の甲号各証の成立は不知と答えた。
理由
被告が、訴外合資会社日本堂製作所の国税滞納処分の執行として昭和三十年六月二日別紙目録記載物件に差押えをなしたことは当事者間に争がない。
原告は、右物件は原告が贈与を受けたものである旨主張するので考察するに、成立に争のない甲第五号証(公正証書)によると、訴外小野馨、同小野平八郎は昭和三十年五月十八日、原告に対し別表目録記載物件を無償贈与して引渡しを了した旨の記載があるけれども、右公正証書の作成されたのは、本件差押えのなされた同年六月二日後である同年八月三十日であることが同公正証書自体により明瞭であるから、公正証書の内容に右の如く同年五月十八日に贈与引渡しを了した記載があつてもこれのみを以ては未だ右差押当時、原告が本件物件につき対抗力ある所有権を取得していたことを認定し難いし、その他立証を促すも原告は証拠を提出しないから本主張は認められない。
よつて原告の本訴請求を失当として棄却すべく、訴訟費用の負担につき民事訴訟法第八十九条を適用し、主文のとおり判決する。
(裁判官 榊原正毅)
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